2012-01-01から1年間の記事一覧

我執

美術の話を長文で書くのは楽しいんだけど、自分が今考えてることとかに文章で向き合うのを最近ちょっと避け気味だったので、10月一回も書いてなかった。反省じゃないけど、後々の自分は「こまめに書いてたほうの自分」を喜んでくれるので書いてたほうがいい…

弔い

弔いは生き残った者のためにある。その通りだと思う。葬儀もなく、ただ心の中で追悼するのは結構しんどいことだった。家族にも同僚にも心配かけないように努めてふつうに過ごしてるつもりだけれど、不意に職場のデスクで彼女のことを思い出しては、後悔と自…

解放

彼女のこととは無関係に、自分で自分を不幸にするようなことをしでかしてしまった。彼女の死について知らされた夜、誰も話せる相手がいなくて、つい例の男子にメールしてしまった。彼も彼女のことよく知ってるし。でも彼から返信はなかった。 ようやく悟った…

重さと軽さ

彼女は詩人だった。 比喩ではない。 彼女の選ぶ言葉は哲学的で、なおかつわたしたちの生活の音がしていて、 高校生の頃のわたしは、隣の席の女の子の寝顔を見ながら感歎するばかりだった。 お昼ごはんに、コンビニのわらびもちとかメロンパンとか食べてるよ…

卒業アルバムより

雪も降らず、海の気配もないここは空が8cmほど近いそうだ校旗が弱く恥ずかしげに垂れ下がる2時間目に少し笑った自転車のスタンドを上げる音や列車の走る音に時間の突き抜ける長さを感じた 経験が上から落ちてきて知識が下から突き上げる仕方がないので低血圧…

no title

高校時代の親友が亡くなった。 正確には、亡くなっていた。しかもパリで。6月に。 どうしてわたしの友人たちは、はかない人生を選ぶんだろう。 彼女がいなかったら今のわたしはいないのに、 わたしだけが生きていたってしょうがないじゃないか。 それでもい…

気持ちの整理

腹を据えて、戸塚さんのことを書く。 そもそものきっかけが、「ジュニアに堺雅人に似ている子がいる」だった。笑顔の奇行子がいると。そのころパリだったのでちょっと検索したら、エピソードだけでツボにはまったのが第一象限。その直後にデビューが決まり、…

フリダシにもどる

朝から夜まで本を読んでる。帰国前は、帰ってきたら貪るようにテレビ見る生活を想像してたんだけど、最初の3日くらいがピークで、あとはごはん以外黙々と読書してる。三毛猫もぼくでんくんも放っぽって。ずっと椅子生活だったので、座椅子に一日座ってると尾…

雨あがりの夜に

奈良の実家よりお送りしています。 故郷の一軒家で過ごす日本の6月は、湿度が高くて草の匂いが充満してて、慣れ親しんだ空気が肌に良くなじむ。昔は実家が嫌いだったけど、それは中高生のときの自分を思い出すからで、そこから随分遠くに来てしまった今では…

東へ

明日の朝、とうとう帰国します。 本当に幸せな一年だった。働くことの喜びも知ったし、美術館にも死ぬほど行ったし、フランス語もそれなりに話せるようになった。それでも思い残すことはたくさんあるけど、これは一時帰国のつもりなので、次のときまで心残り…

帰国準備

きのうの夕食は、オセアンヌのクラスメイトのご家族のリクエストで、日本料理を作って持って行った。巻き寿司と肉じゃが。でも失敗したんだよね。向こうの家族はモロッコ・アルジェリア系で、向こうのお宅でお鍋あっためてもらってるときに「この牛肉はハラ…

マティス展

静物画がこんなにおもしろいマティスって、やっぱり天才だと思うの。性的なセンセーショナルさじゃなく、絵画そのものとして心底楽しめるの久しぶりかもしれない。良い展覧会っていうのは、朝寝起きに飲む一杯の水みたいに、心身にしみわたるというか、頭が…

ドガとヌード展

縁のある画家とない画家っていうのはいて、ドガは不思議と縁がある。そもそもお姉ちゃんがドガ好きで部屋中に飾ってたので親近感があったし、2010年の横浜の大規模なドガ展も、心の余裕がある時期にじっくり観れた。逆に縁がないのはルドン。渋谷のルドン展…

ジヴェルニー

ナビ派の末っ子、モーリス・ドニの展覧会!! モネはそんな特別好きってわけじゃないけど、ドニの展覧会がジヴェルニーの印象派美術館で開催中というので、昨日初めてジヴェルニーに行ってきた。勝手知ったるサン・ラザール駅から電車で45分+バスで10分。パ…

夢日記

寝起きの頭で編集画面に直打ちする。ふだんはテキストエディットで下書きしてる。はてな、すぐに消えちゃうから。 わたしのミューズ(説明不要)の夢を見た。ちょっと今までにない感じの、壮大な夢だった。「好きなんだけど」って言って「じゃあ付き合おう」…

スリに遭った(たぶん)

財布がなくなった。あるもんだなー実際…。 いや、電車の中でスリが多いって話には聞いてたので、だいぶ気をつけてたつもりなんだけど、いつ盗られたのかまったく心あたりがない。というかその日めちゃくちゃ体調わるくてぐったりしてたんだよね帰り道。だか…

圧倒的な断絶

前回の続き。ジェネレーションギャップについて、ちょっと別のこと考えたりなど。 わたしは実家が本当に嫌いで嫌いで、中学生のころは夜公園でぼーっとしながら、大人になって一人暮らし出来るようになるのを待つのと今死ぬのと、どっちがいいかとか考えてた…

小商い

春になったらヴァンセンヌの森に行こうと思ってて、今日初めて行った。森っていうよりは広大な林みたいな。ブーローニュの森みたいに鬱蒼とはしてなくて明るい。風が冷たかったんだけど天気がよくて、ヴァンセンヌ城から湖までずーっと歩いた。歩き瞑想って…

ドビュッシー展など

気持ちのベクトルが内に向かってる気がする。なんかあんまり人と話したくないし、自分の仕事だけやってあとはずっと本読んでたい。行動が記録に追いつかないので、最近のことをまとめて書く。どんな形でも残さないよりはまし。 ○3月12日(月) 『ドビュッシー…

ロンドン旅行記 II

旅行記 I、作品タイトルを追記しました。 さて2日目の日記。

ロンドン旅行記 I

ロンドンに行ってきた。 日本の友人(美人で才女でヲタク)がニューヨークに出張することになり、「ロンドン行こうかな…」とかひとりごと言ってたのがそもそもの始まり。ロンドン来るならわたしも行くよ!って決めたのが、出発10日前くらいだった。お互い未…

灯台

わたしはいつも「ここではないどこか」のことを考えていた。それではなんだかいけないような気がして、大人になったら完成された職業人にならなきゃいけないんだって思ってたから、ずっと後ろめたかった。たとえば、学生っていうのは人間として未完成で、学…

蜜月

3ヶ月って、わたしのミューズ(頻出単語)と仲良かった期間と一緒なんだよなあ。高一の12月から3月まで。まさに蜜月だったね。そのときも付き合ってないけど。放課後の教室とか電話とかで、すごいどうでもいいことばっかり話してたけど、ほんっとうに楽しか…

交点の先で

酒も飲めないし煙草も吸えないし、こういうときわたしはどうやって過ごしてたんだろうなあとか考えてたら、今朝、無意識のうちに、駅のキオスクで芸術系の雑誌を大量買いしてしまった。所要時間4分。単なる電車待ちの時間だった。あーこうしてわたしはエンタ…

あの子の苦悩

わたしには他人の思想に口を出す趣味はない。人はみんな信じたいものを信じればいいと思う。例えそれがどんなに異端であっても。 友人に深い苦悩を背負っていることを告白された。つまり、わたしを好きになることと彼の信条とが完全に反するということだ。だ…

La femme du boulanger

[:W200]フランスに来て初めて演劇を見に行った。人気のあるロングラン公演らしくて、主演のこの人が有名な俳優さんらしい。名前はミシェル・ガラブル。例の友人の男子に連れて行ってもらったんだけど、「フランス人はみんな彼が大好き!」って言ってた。植木…

仕事道具

日本語の本読まない、とかいって今がっつり読んでる。河合隼雄の心理療法の本。 広告業界で4年くらい働いてたわけですが、現在日本語の先生やってて嬉しいなあと思うのは、目の前にお客さんがいて反応が手に取るようにわかること。広告の仕事してたときは、…

ロダン美術館

ロダンってやっぱすごいのな!ヌードデッサンが天才的にそそるんだけど!! 展覧会タイトルは『モデルを捕らえる』。事前情報ほとんど持たずに行ってみたら、最初から最後まで延々と300枚の女性のヌードデッサン。いやーおもしろかった。ロダンってちょっと…

非ヲタ体質

昨日の自分が何書いてるのか不明。眠かったんだろうね。 ええと、正直に言うと、6月に一旦日本に帰ってその後もう一度フランスに来るつもりだった。日曜日までは。それが、しょうちゃんハピバによりあいば30さいのことを考えざるをえなくなって、でもそのと…

行くか、残るか

6月以降の話を、あらしのお友達とジョエル(同居人)と勤務先から、三者同時にされた週明け。 今何よりも思ってるのは、この一年はわたしが喉から手が出るほど欲しがっていた年月で、日本に帰るためにここにいるんじゃないということ。だから今、なるべく日…