行くか、残るか

6月以降の話を、あらしのお友達とジョエル(同居人)と勤務先から、三者同時にされた週明け。


今何よりも思ってるのは、この一年はわたしが喉から手が出るほど欲しがっていた年月で、日本に帰るためにここにいるんじゃないということ。だから今、なるべく日本の本を読まないようにしてる。本って確固としてそこに存在していて文字が書かれていて、しかも基本的に受け身で向こうがこちらを引っ張ってくれるものだから、すごく安心できる。でも今は、わたしがここで生きて生身の人たちと関わることのほうが貴重だと思える。言葉になって限定されてしまう前の、この街やこの街の人々のなかに沸き起こっている動機、感情、そういうものを感じておきたい。そう思って、今は意識的に外に出て、偶然出会ったものと深いところで関わる経験値みたいなものを身につけようとしてるんだけど、そのタイミングで「帰国した後はどうするの?」って聞かれると、思いっきり内面と向き合わなきゃいけなくなるので上手く答えられない。


帰国後の話を一切しないのは、例の友人の男子だけだな。あの子はたぶんわたしが帰国するのが淋しいんだと思うけど(あるいは全く興味ないのかもしれないけど)、彼とは過去の話も未来の話もしないので、すごく楽しい。なんかこう、因果関係とか合理性とかから解き放たれた会話するのって気持ちいいよね。わたしがそういうの苦手なので、その場限りの即興芝居みたいな会話をするとなんか癒される。頭の使い方が全然ちがうから。でもまああれだよ、フランスに日本人の女の子が行くのって、広大なホストクラブに放りこまれるようなもので、自分がモテてると思って調子乗ってると日本に戻ったときに痛い子になりそうだから自戒しときたい。って自分で言っとかないと、実際今たぶんほんとに調子乗ってるから。