2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

弔い

弔いは生き残った者のためにある。その通りだと思う。葬儀もなく、ただ心の中で追悼するのは結構しんどいことだった。家族にも同僚にも心配かけないように努めてふつうに過ごしてるつもりだけれど、不意に職場のデスクで彼女のことを思い出しては、後悔と自…

解放

彼女のこととは無関係に、自分で自分を不幸にするようなことをしでかしてしまった。彼女の死について知らされた夜、誰も話せる相手がいなくて、つい例の男子にメールしてしまった。彼も彼女のことよく知ってるし。でも彼から返信はなかった。 ようやく悟った…

重さと軽さ

彼女は詩人だった。 比喩ではない。 彼女の選ぶ言葉は哲学的で、なおかつわたしたちの生活の音がしていて、 高校生の頃のわたしは、隣の席の女の子の寝顔を見ながら感歎するばかりだった。 お昼ごはんに、コンビニのわらびもちとかメロンパンとか食べてるよ…

卒業アルバムより

雪も降らず、海の気配もないここは空が8cmほど近いそうだ校旗が弱く恥ずかしげに垂れ下がる2時間目に少し笑った自転車のスタンドを上げる音や列車の走る音に時間の突き抜ける長さを感じた 経験が上から落ちてきて知識が下から突き上げる仕方がないので低血圧…

no title

高校時代の親友が亡くなった。 正確には、亡くなっていた。しかもパリで。6月に。 どうしてわたしの友人たちは、はかない人生を選ぶんだろう。 彼女がいなかったら今のわたしはいないのに、 わたしだけが生きていたってしょうがないじゃないか。 それでもい…