春を愛する人

突如郷愁に誘われて昔の曲を聴いていた。高校時代のわたしは春を愛する人が一番好きな曲って言ってたんだよなぁ。今思えば、その頃の自分は幸せだったんだな。今なら絶対言えない。


わりと好き勝手に生きてきて、今はずっとやりたかった勉強もできてるし、職も家もあるし、充分満たされているはずなんだけど、ときどき、14年前に置き去りにしてきた自分のことを思い出す。人に愛されるという能力だけ高校生で止まっているんだろう、いつまでたっても大人の関係に慣れない。好きだよ大事にするよっていう言葉をもらうたび、なんでわたしなの、他の人に行ってくれればいいのにって思う。たぶんもう無理なんだ。かつて世界で一番好きだった子とそれ以外の人を比べてどうこうじゃなくて、自分が誰かを愛するときの最大値を知ってるから、自分がそれほどの感情を向けられる対象になるとも思えないし、もしそうなったとしたら怖いなあと思ってしまう。自分に返ってくる感情というのは怖い。だからたまに会いに行けばそこにいて笑ってくれるくらいがちょうどいいんだと思う。