帰国準備

きのうの夕食は、オセアンヌのクラスメイトのご家族のリクエストで、日本料理を作って持って行った。巻き寿司と肉じゃが。でも失敗したんだよね。向こうの家族はモロッコアルジェリア系で、向こうのお宅でお鍋あっためてもらってるときに「この牛肉はハラルの店で買った?」って聞かれた。盲点…。
イスラム系の人が豚肉食べないのは有名だけど、他の肉もハラルっていう基準で殺された肉じゃないと食べてはいけない。もちろん知ってはいたけど、買い物に行くとき全然頭になかった。家帰って来てもう一度調べた。"必ずムスリムが殺したもので無ければならず、鋭利なナイフで「アッラーの御名によって。アッラーは最も偉大なり」と唱えながら喉のあたりを横に切断しなければならない" らしい。
でも向こうのご家族は「大丈夫、肉だけよけていただくわ」って言って、おいしいおいしいって食べてくれた。ほんとに厳しくイスラム法を遵守する人だと、肉由来のスープもだめって聞いたことがあるから、たぶんムスリムでもいろんなレベルの人がいるのだろう。
お寿司もたくさん食べてくれた。具はサーモンとアボカドとキュウリ。サーモンがあんまりおいしくなかったり、ごはんがやわらかすぎたり、わたしの中ではいろいろあったけど、みんな喜んで食べてくれてた様子。だけど大人数におもてなし料理作るの慣れてないから緊張した…。


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帰国準備が進んでいます。日本語学校は22日付けで退職しました。最後、生徒とか同僚とかいろんな人から、手紙とプレゼントもらって嬉しかったなあ。いろいろ嫌なこともあったけど(お給料が安いとか、経営者と先生のトラブルに巻き込まれたりとか)、総合的には今までで一番自分に向いてる仕事だったと思う。日本語についてや、人前でパフォーマンスすることについても考えられたし。しかもまだ自分にのりしろがある実感というか、いろいろ試行錯誤してやっと自分の授業の型が出来てきたところだったので、もうちょっと続けたかったな。


帰国を控えて一番大変だったのはあれだ、携帯電話の解約。フランスでは2年契約の毎月引き落とし式とプリペイドカード式と選べて、わたしはもともとプリペイドカード式にしようと思ってたんだけど、PHONE HOUSEの店員が「2年契約でも、海外に帰る人は帰国時に飛行機のチケットを見せれば解約できますよ」って言われて、2年契約にしたんだった。そして解約手続きをする段になって、プロバイダのOrangeに電話したら、「2年契約を解約するときは、どんな理由であれ、違約金として残りの契約分の50%を支払わなければいけない」って言われて、わたし激怒。話が違う、と。どうやら、契約取るのはPHONE HOUSEで、契約先はOrangeなので、こういう詐欺まがいなことになってるらしい。ネットで調べたり人に聞いたりすると、同じトラブルのフランス在住日本人続出。最終的に、日本人会で聞いたこの情報が役に立った。「死亡か海外転居(つまりフランス国内には絶対いない)という証明が出来れば解約できる」という判例があるらしい。たまたまわたしは東京に住民票を置いて来ていたので(わざとじゃなくて渡仏時に時間がなくて放置してた)、友達に頼んでその住民票を取り寄せ、勤務先には退職証明書を書いてもらい、パスポートとビザのコピーと合わせて書留でOrangeへ郵送した。ここまで1ヶ月半くらい+八千円くらいかかった。そしたら数日後、携帯にペラッとメールが来て「あなたの解約は受理されました」と。うわああい!勝訴!ってめっちゃ喜んだけど、考えたら母国の公的書類提出しなきゃいけないって何だよ。もしこれからフランスに住む予定の人がいたら、ほんと気をつけてください。


携帯の話に熱くなりすぎた。


いや、フランスに住んでて何が大変かって、こういう契約とか役所関係とか大事な場面で、人を信用できないことだよね。自分を守れるのは自分だけ、っていう。一時帰国あるあるで「銀行や市役所で "戦わなくていいんだ" って思ったとき」っていうのを聞いたとき、首がもげるほど頷いたよ。


銀行は、帰国直前までキャッシュカード使えるようにしておいて、解約手続き後、日本にデポジットを送金してもらうことにした。確実にフランスに戻ってくるなら、口座をそのままにしておいてもいいんだけどね。まだわからないので。あと、帰国ぎりぎりまで旅行するので、現金を持ち歩けないというのもあって。


それから、友達や家族に少しずつお土産を買い始めてる。のだけれど、アクセサリーとか可愛くて自分のものにしちゃったり、お菓子がおいしすぎてあげる前に食べてしまったりして、買ったはずのお土産が減っていくという事態に。すいません。あとは反対に、買い物が楽しすぎてすごい高いもの買ってしまったりとか。でも次いつ来られるかわからないと思うとねえ。


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来週の今頃には、この家を引き払って南仏への旅に出ます。実感ないなあ。