すやすや

毎日本当によく眠っている。平均して一日8時間くらい。フランスの深夜番組がおもしろくないのと、夜中になると地球の反対側が朝になるのがtwitterで見えるのでちょっとあせるのが二大要因と思われる。でもおかげで体調はすごく良い。わたしがこちらに来て落ち込んだり憂鬱になることがあまりないのも、睡眠時間をたっぷりとれているからだと思う。東京で働いているときに仕事が好きじゃなかったのは、もしかしたら睡眠時間が充分じゃなかった、ってそれだけの理由かもしれない。仕事から帰って来て、ごはん作って家事もして、自分のしたいこともすると、寝るのが毎日2時くらい。それで朝は7時半に起きるのが週5日。東京にいるときはそういうものだと思ってたけど、毎朝起きるのが苦痛だったのと、週の後半にじわじわ疲労がたまってくるあの感じは、結構ストレスだったんだろうなあと思う。


わたしはどういうふうに働くべきなんだろう、っていうのがこちらに来て考えたかったテーマのひとつなので。今は塾の先生とレストランのサービス係をやってて、もうすぐ日本語教師の仕事が始まるけど、レストランのほうがあんまり好きじゃなくて、塾のほうがずっと楽しい。レストランで働くのはどうしても時間を切り売りしてる感が否めないんだけど、塾で生徒に接してると、もっと理解してもらえるように、もっと楽しんでもらえるように、って創造的な気持ちが沸いてくる。だから授業の準備のために時間を割くのも全然いとわない。教育は最高に創造的な行為、って言ったのは誰だったっけ。


高校時代の恩師(最初に哲学を教えてくれた担任の先生。職員室が嫌い)はわたしに「自分で起業すれば?あなたは他の人の下で働く人間じゃないよ」って言った。当時は意味わかってなくて、そんなにビジネスの世界でがんばる気はないよーって思ってたけど、今だったら少しわかる。誰かに"働かされて"一生過ごすよりは、自分で自分の仕事を創りながら働くほうが、わたしには合っているということを先生は言いたかったのかもしれない。別にそれは、雇用形態での働く/働かされるの二元論ではないので、わたくし起業します!という意味ではないけれど、どういう仕事なら創造的な気持ちをつぶさないで過ごせるだろう、ということをちょっと考える。


勤労と創造性の関係についての、ミヒャエル・エンデヨーゼフ・ボイスの対談。これ、装幀がものすごく美しい。

芸術と政治をめぐる対話 (エンデ全集)

芸術と政治をめぐる対話 (エンデ全集)


でもどこにも所属しないで自分の仕事を自分で作る職種というのは、冒頭に戻るけど、たぶん睡眠時間をたっぷりとれるということはなくなるんだろうなあ。たくさん眠れるというのは、ある意味宙ぶらりんな状態の特権。