芸術と広告

『広告の150年(150 ans de publicité)』という図録の「芸術と広告(Art et publicité)」という文章を読んでいる。


先々週の日曜日に、ルーブル美術館の一角にある広告博物館に行って来たんだけど、今やってる企画展が「歴史をリサイクルする広告(La publicité recycle l'histoire)」というもので、例えば“ナポレオンも大好き!”とか、“昔は星占いで運勢を占った、今は宝くじで占おう”とか、そういう広告のポスターやCMがたくさんあった。でも、周りのフランス人たちがその広告たちを見てフフッて笑ってるんだけど、わたしは元ネタがほとんどわからなくて充分楽しめなかったんだよね。この企画展は8月末までだから、その次行くときまでには広告史の概要くらい知っておこうと思って読み始めたのが上記の本なのでした。


この文章自体はA4で4ページくらいの短いもので、国立科学研究センターのジョルジュ・ロック氏によるもの。いつも新聞とか雑誌とか、何か情報を得るために読んでるときはざっくり意味がわかればいいと思って読んでるので、今回はちゃんと精読しようと思って辞書を引き引き読んでる。んだけど、いやー厳しいなあ。なかなか進まない。それぞれの単語の意味はわかるけど全体の意味が自分の読んだ通りで合ってるのかがわからなくて、理解がうすぼんやりしてる。


まだ途中だけど、

・1990年代初頭に、広告の大きな展覧会がMoMAとポンピドゥーで開催された。そのときは広告に対する芸術の尊大な態度が見られた
・現在では、広告と芸術のヒエラルキーを維持しようという態度は変わって来ている
・例えば、ジュール・シェレがジョルジュ・スーラに、あるいは多色刷りのポスターがフォーヴィズムに影響を及ぼした
・しかしこういった年代順の図像的なアプローチだけで、その関係性を理解するのでは不十分である

といったような内容。
一時期スーラがすごい好きなときがあったんだけど、シェレの影響とか初めて知った。シェレからボナールへ、とかならよくわかるんだけど。この辺、もうちょっと調べないと全然知らないや。
でも芸術学だと文章を読みつつ視覚で補完できるから、文献読むとき助かる。言葉だけではわからなくても、作品と一緒に見れば理解できたりするし。仏文学の人とかは、文章しか情報がないから大変だよね。


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暇さえあればポンピドゥーの図書館に行ってるんだけど、あそこの2Fに学生たちの休憩スペースがあって、そこが好き。紙コップの自販機のコーヒーの匂いが大学を思い出す。文学部W棟6Fの自販機でコーヒー買って、自習室で授業の予習したりレポート書いたりしてた。ラウンジに数学科の先輩呼んで、4次元とか11次元とかの話を教えてもらったりとかもしたなあ。今思えば、文学部の向かいに理学部ってすばらしい立地だったんだな。って、また思い出に浸りそうなのでこの辺で。