オルセーとポンピドゥー

昨日の夜からこのおうちにひとりです。ジョエルとオセアンヌは8月末までバカンス。自由だけどちょっとさみしい。そして急に気が抜けて、朝全然起きれなかった。同居してたこの2週間、楽しかったけどやっぱりずっと気を使ってたから。あと若干喉が痛い。

そんなわけで、今日はおうちにいることにする。就職活動しなきゃって気持ちはあるんだけど。でも、東京で毎日会社行かなきゃいけなかったときは、やだやだって思ってたものだけど、今みたいに資金の目処がつかなくて不安定な身分というのも落ち着かないものだなあ。わがままですね。


以下、昨日の美術館ハシゴの話。長いです。


オルセーは観光客でいっぱいで1時間待ちでした。中に入ったら、印象派のあたりが激込み。日本人だけじゃないんですね、印象派好きなの。モネとかルノワールのあたりはざっくり流して、ドガに夢中。ドガってただのチュールいっぱいロリコンおじさんじゃないんだよ。これとかちょうかっこいい。画面の切り取り方が。


そしてナビ派の部屋で大興奮。ボナールすばらしい。ボナールの作品、こんなにまとめて観たことなかったよ。色彩のセンスがすごい。明るいんだけど深みがあったり、全体の印象は暗いのに色使いは明るかったりするし、そのくせ濁りはなくて、どうなってるのか謎。これが良かったな。「庭の女性たち」4枚連作。


あと、パステル画の部屋にあった、Emile Levyという画家のこの絵がちょう可愛かった。育ちが良さそうで品があって、可愛い顔してるのにいやいやモデルさせられてるみたいな表情してて。


そういえば、アールヌーヴォーのあたりに行ったら、ガラ空きだったよ。やっぱりヨーロッパで工芸って絵画ほどステイタスが高くないのかな。ラリックとかガレとかすごい楽しいのに。アールヌーヴォーの部屋観るたび、こういうお屋敷に住みたい!って思うけど、実際住んだらしんどいのかしら。そこかしこに蔦とか葉っぱとか鳥とか昆虫とかがうねうねぐるぐるしてて。


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オルセーの話、書きすぎた。


途中、お昼挟んでポンピドゥーセンターへ。ポンピドゥー来るたび思うけど、よくあの工事中みたいな建物をパリに立てること許したよね。
そしてまっすぐモダンアートのフロアへ。
そうそう、ポンピドゥーでは、近代美術=モダンアート、現代美術=コンテンポラリーアート、って時代で分けてるみたい。境目は1945年。日本の翻訳者がときどき「モダンアート」を「現代美術」って訳すからちょっと混乱してたけど、とりあえずひとつの指標として理解。


さっきまで秩序のあったタブローたちがだんだん崩壊してきてちょうテンション上がる。セザンヌはすごいねえ。オルセーとまたがってどっちにもあるのって、あの時代だとセザンヌくらい。デュシャンが若い時期に影響を受けたというセザンヌ。その次に出てきて、観るたびすごいなあと思うのがマティスマティスは、自分で絵を描いててどんどん楽しくなっちゃうタイプの人だよね。ピカソもそう。だからいくらでも描いちゃう。それって才能だよなあ、と思う。


今回、カンディンスキーが充実してた印象が。カンディンスキー展をこないだ三菱一号館美術館で観たとこだけど、やっぱりコンポジションのほうがおもしろい。自分の作風を完成させることに固執したり、そこに凝り固まることが良いことだとは思わないけど、カンディンスキーの場合は、コンポジションのバリエーションに広がりがあって豊かで、風景画を描いてたころより生命力にあふれてる気がする。これとかポップでキュートで砂糖菓子みたいな感じだった。しかもこれすごい大きいの。大きい絵を見るの好き。


そして、観たかったシャガールは2枚くらいしか出ていませんでした。しょぼん。でもまた来る。ていうか、この「また来る。」のためにパリに住んでるわけだし!展示替えしたらまた観にくるよ!


そのあとにパリ-デリー-ボンベイ展に行こうとしたら、なんとまあ、企画展は無料じゃないそうです。1500円くらいなんだけど、ちょっと迷ってやめた。贅沢は敵です。そのかわりにポンピドゥーの図書館に行った。いや、あそこすごいね。初めて入ったんだけど、アートの棚だけでどんだけ!っていう。せっかくなので、ボナールのこと調べようと思って探したら、ボナールだけで50冊くらい。たぶん、フランス語のボナール本は全部あるんじゃないですか。机に座って辞書を引きつつ読んでたのですが、雰囲気が大学図書館みたいで居心地よかった。そうか、パリで芸術学の勉強してる人たちはこういうところにいるんですね。結局図書館に閉館までいて退出。