エシャンジェ

わたしの仕事探しはけっこうアグレッシブです。求人広告待ってても時間がもったいないので、自分が働けそうなところにはメールでコンタクトとるか、直接出向いて履歴書渡して、面接の約束取り付けたり折り返しの連絡してもらえるよう頼んできたりする。そしたらなんとまあ、日本語教師の職のチャンスが舞い込んできました。わたし日本語教えるのとかやったことないんだけどww 来週火曜日に30分の授業をすることになって、それが採用試験らしいので、今日「みんなのにほんご」買って来ました。付け焼き刃だけど今から勉強します。。。


昨日の、あいばさん入院のニュースがちょっと影響してるかもしれない。こんなに無茶な挑戦でも、あいばさんががんばってるからわたしもがんばる、って。結局いつも同じところに着地するんだけど。


今日はそのあと、フランス人で日本語勉強してる男の子とエシャンジェ(日本語でなんていうんだろう、お互いの言語の勉強のためにおしゃべりすること)してきた。この子がまあ、典型的なフランス人の若者で。今は仕事がないから働いてないといい、話の端々に「お金がない、お金がない」って出てくる。なのに来月から日本に旅行するらしい。働いてなくてもバカンスはちゃんととるのね。「日本に行ったら、TEPCOの壁に“ファック!”ってスプレーで書いてくる」というので、それはやめて、って言っといた。まあ、フランス人の言い分は、誰に聞いても「日本は原発問題が初めてかもしれないけど、フランスはチェルノブイリの経験があるから、自分たちのほうがよく知ってる」というもの。うーん。
就職活動で歩き回ったあとに、初めてのエシャンジェがそんな感じで、帰りのバスでぐったりしてたら、「奥の席あいてますか?」って話しかけられた。あまりに疲れていて気づかなくて「すみません」って謝ったら、「疲れてるね、だいじょうぶ?」って。そこから少し話が始まって、彼はパキスタン人で3年前にパリに来たっていうところでわたしが降りるバス停になった。そしたらコーヒーでも飲む?ってなって。いつもだったらそこで断るんだけど、パキスタンの人って初めて会ったのと、彼の感じが良かったから、少し誘いに乗ってみた。で、コーヒー飲みながら「どうしてパリに来たの?」って聞いてみた。そしたら、「いい質問だね。僕の故郷はカシミールっていうんだ。知ってる?武力問題が絶えなくて、僕の両親はインド兵に撃たれて殺された。だからパリに来た。ここは平和だから。日本もいい国だね。平和で安全で」って。悲しい話をさせてしまってごめんなさい、いつかは故郷に戻るの?って聞くと「戻らないし、戻りたくもない」って言ってた。
こないだ、ジョエルの元旦那さんのロンベールさんに会ったときにも、その話になったんだけど、ザイール人の彼も「戻らないね。故郷に両親も兄弟もいるけど、ザイールには仕事がないから、僕はフランスで生きていく」って言ってた。
フランスの移民問題は、この国だけの問題じゃない。ただ平和で外国人に寛容な国にみんな行きたいだけなんだ。でもある程度制限しないと、今日会ったフランス人の彼のように国民に仕事がまわらなくなって、働き口がないのは国のせい、僕のせいじゃない、ってなってしまう。
わたしは日本人で、フランスとの関係も良好だしフランスへの流入が一方的に激しかったりはしないけど、それでもビザとるの大変だった。でもこっちに来てから実感するのは、わたしの国籍と人種と経歴がとても安定していて、身元がしっかりしてるっていうことが、こんなに人の信頼を得られるものなのかってこと。わたしなんて中身からっぽだしフランスに落とせるお金も能力も持ってないのになあ。