ラパンアジル

朝起きたら11時だった。うーんやっぱりちょっと疲れてるのかも。こっちに来て初めて洗濯をする。洗濯するだけでも、まず洗剤の説明書きを読んで、それから洗濯機の表示を読んで…とかして時間がかかってしまう。
それから街に出て、カフェで履歴書書いたり、友達に手紙書いたり。そのあとモンマルトルへ。モンマルトル、今回初めて来たけど、うーんやっぱりこっちに住みたかったなあって思った。なんだろう、神楽坂に初めて来た日に直感的に気に入ったあの感じに似てる。坂が好きだからか。でも今はあんまり潤沢な予算がないので、いつか住みたいなあと思うにとどめる。
モンマルトルに行ったのは、東京で仕事してるときのクライアントのおじさん(失礼)が、「モンマルトルのラパンアジルっていうシャンソンバーにピアニストのおじいさんがいるので行ってみるといいよ。僕の友達なんだよ」って教えてくれたので、本当かなあっていぶかしみながらそのおじいさんに会いに行ったのでした。ラパンアジルのアンリさん、っていうだけの情報でそのお店を探して行ってみたら、お店の前の木陰のベンチにおじいさんがたそがれてて。わたしは日本から来ました、アンリさんというピアニストを探しているのですが、って声をかけたら、日本語で「Kさんのお友達ですか?僕がアンリです」って答えてくれて、あんりさああああん!!って思わず手を握ってしまった。
どうやら開店前だったようで(夜8時頃だったんだけど、9時開店らしい)、今日はあいさつするだけって思ってたら、オーナーがやってきて「ちょっと中に入ってごらんよ」って言われておじゃました。すごかったよ、壁一面にピカソとかロートレックとかモディリアーニの絵がかけてあって、「この絵はこのラパンアジルを描いた絵なのです」ってひとつひとつ説明してくれた。そのうちチェリストの男の子がやってきて、開店準備を始めるのを見てたら、「これはさくらんぼのお酒だよ。この店の伝統的な飲み物なんだ。飲んでみる?」ってちょっと飲ませてもらった。甘くておいしかった。アンリさんは御年79歳らしいんだけど、74歳から日本語を勉強しはじめたらしく、一年に一度、毎年2週間くらい、日本のKさんのおうちに滞在しているらしい。「年を取ってから勉強してもなかなか覚えられないです」って上手な日本語で言うの。すげえ。しかも、日本語の勉強は週1で家庭教師の先生に来てもらうのと、それ以外の日はメールで宿題をもらってやってるらしい。「Kさん夫妻ともメールでやり取りしています。日本語とフランス語と半分半分で。スカイプも使いますよ」ってさらっと言うので感嘆してしまった。「今度あらためてシャンソンショーを聴きに来るときには電話してください。あなたのために席を用意しておきます」とのこと。すごい満たされた気持ちで帰宅。なんだか不思議な時間だった。明日はゲイパレード