欲望について


最近読んだ本。


ユダ(上)

ユダ(上)

ユダ(下)

ユダ(下)

愛する人を所有するということ (青弓社ライブラリー)

愛する人を所有するということ (青弓社ライブラリー)


スキャンダラスな並びだなぁ。別に異性関係に問題があるわけではないです。まったくきれいなものです。


『ユダ』は職場の先輩から借りました。すごい優秀なディレクターでちょうモテる人(男性)なので、モテの何たるかを学ぼうと最近仲良くさせてもらっています。その前に紹介してもらったのは、内田和成氏の『仮説思考』という本。共通点は、どちらも究極のビジネスのスタイル、というところかな。でもこの2冊の振り幅がすごいな。
内容は、大宮、歌舞伎町、六本木とどこに行ってもNo.1に君臨したキャバ嬢の自伝。文章は非常に素人っぽいので最初はきつかったけど、書いてある内容がとにかく濃くて読んでるとどんどん目が冴えてきた。
「『悪魔』『女ヤクザ』と呼ばれた伝説のキャバ嬢」って謳い文句だけど、そう呼んだのは彼女にはまってしまったお客の周囲の人。「彼女はヤバイからやめとけ」ってみんながいう。確かに彼女はお客からお金を引きずり出すためなら、可憐な少女にも魅惑的な娼婦にもなれる。それもすごい冷静な頭で、甘い嘘を口にしながら次の策略のパターンを考えてる。ちょっとサガンみたい。でもあんなに危険な世界で生きてながらきっちり自分のルールを作って、自分の身を守って、本当にだめなこととかポリシーに合わないことには手を染めない。とても真面目でプライドの高い子。こういう人は何の仕事をやっても成功するんだと思う。だけどそれで幸せになれるかというと、悲しいことにそれはまた別の話で。



下は、大学時代に授業を受けた先生の著書。そんなに親しかったとか特別尊敬していたとかいうわけじゃないけど 笑、右脳と左脳をバランスよく使えてしかもすらすら読めるので、お風呂でちょっとずつ読み進めるのに最適な本。こっちのほうがキャバ嬢の本より先に読み始めんだけど、奇しくもキャバ嬢の本がこの本の参考資料みたいになった。
今読んでるのは、"第4章「愛するのが好き?愛されるのが好き?」―愛の能動と受動"のところ。よく女子の会話でそんなのがありますが、今のわたしなら「好きな人は愛したい。好きな人には愛されたい。それ以外の人にはっきりと好意を示されるのは好きじゃない」って答えると思う。最後が意見別れるところみたいだけど、好意を行動で示すっていうのはつまり、浅見先生の理論に則っていうなら「誰かに恋焦がれている人は自分の心を制御できない状態にあるので、人は自分のまとまりを奪還するために、相手の心を制御しこちらに振り向かせようとする」ということになる。だから、はっきりと好意を示されるとわたしはその所有欲にさらされているような気持ちになるので嫌なんだろう。ただおそらくわたしは、自我にまとまりがなくても平気な人間。保守的だったり奔放だったり、何かに心を奪われていたり自分のことに固執していたり、両極端な性質って普通みんな持ち合わせているものなんじゃないかと思う。少なくともわたしは、不安定な自己に不安になる、とかはない。そこが浅見先生の理論で根本的に納得できないところだったなぁといま思い出しました。