世界で最も美しい本


いつ行こうか迷ってたんだけどさ。なんか中途半端な気持ちで行くのも嫌で。でもこっちの世界に触れると一気に揺り戻されるね!いやあ楽しかった。時間忘れて没頭してた。


【P&Pギャラリー】
世界のブックデザイン2008-09


毎年3月のライプツィヒ・ブックフェアで公開される「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書とともに、このコンクールの上位入賞の常連である日本、ドイツ、オランダ、スイスにフランス、イギリス、中国を加えた7カ国の優れたデザインの書籍およそ240冊をご紹介します。実際に本を手にとってご覧下さい。


会 期 : 2009年10月17日(土)〜2010年1月24日(日)
休館日 : 毎週月曜日(ただし、11月23日、1月11日は開館)11月24日、12月28日〜1月4日、1月12日
開館時間: 10:00〜18:00
入場料 : 無 料

紙とタイポグラフィとグラフィックの、目が眩むような響宴。大きめの会議室みたいなちょっとしたスペースなんだけど、わたしにはルーブルくらい広い空間に思えた。それこそ一週間住んでも観きれないくらいに。今あらためて調べたら全240冊らしいけど、「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書12冊で、もう本当に胸がいっぱいになった。いい映画観たときもそうだけどさ、感動したこの気持ちって繊細で、ちょっとしたことでクシャって壊れたり、他の情報を入れることで薄まってしまいそうだから、残りは延期にしてまた観に来ることにした。一昨年も来てるんだけど今回のほうが見応えあった気がするのは、わたしの貪欲さが違ってきてるからなのか何なのか。


これ!これがすごかったよ!

『L'IMAGIER DES GENS』

「お母さん」「子ども」「先生」「恋人」「政治家」「シェフ」とかって人を表す単語とそのイラストが200ページにわたって続く、ただそれだけなんだけど、印刷には黒が使われていなくて、桃色・水色・黄の3色だけで構成されているの。その3色の掛け合わせで紫とか緑とか中間色を作るのでちょっと浮世絵っぽい感じ。オフセットって書いてあったけど、特色で色分解して作るのかな。まあCMYKでも作れると思うけど。わたしの肉眼レベルではそこの見分けはたぶんつかない。…って書きながら気づいてしまったんだけど、こんなに単純な作りなのになんであんなに感動したのか、ちょっと説明できない。でもとにかく洗練されてて、手と目が喜ぶ感じがするの。自分に子どもができたら最初の1冊としてあげたいくらい。ちなみにこれが金の活字賞(1等賞ってこと)。


あと、画像は出てこなかったんだけど*1ストラスブールの美術館…だったかな、アルプの展覧会図録がおもしろかった。表紙に不定形な色画用紙を何枚も重ねてて、本文の作りもめまぐるしく展開があって実験的。でも展覧会の図録ってどこも気合い入れて作るものだからね。それだったら、なんとか財団のすばらしく美しい年間報告書のほうがびっくりしたので、そっちのほうが評価したいかも。(なんとか財団…名前忘れちゃったや。ドイツっぽかった気がする)機能的にはWordにMS明朝でいいところに、とんでもなく斬新で読む人に訴えかける力の強いデザインが採用されていると、本当に感動する。


                       *


作りかけの本が1冊あってね。
そのことがいつも気にかかってて、早く完成させたいんだけど、少しずつ進めてるとどんどん自分の気持ちが変わっていってしまうのね。厳密さ、精確さ、そういうものを愛してた去年のわたしとは違う人格が、今は活発に動いてる。だからといって、じゃあもういいや、って作りかけで投げられるほど軽い気持ちで作ってたものでもない。でも一旦手をつけるとついいろいろ試してしまって、失敗したらその分岐点まで戻って、そうやってるといつまで経っても終わらない。自分の力量を高く見積もりすぎてるのかな。もしくは、こうやって世の中の最高峰のデザインを自分の目に見させすぎてるのかな。難しいね。でもあのテキストは好きなんだ。自分が書いたものだけど、客観的な気持ちで読める不思議な出来になった。だからあれをお披露目するために、早くフォルムをつけてあげないとな。

*1:っていうか、上の2つの画像も本当は使っちゃだめだと思うんだけど、オフィシャルなサイトからここでの紹介用に借りてきたので、許容範囲ってことにしてほしい