ゴダールで聞き取り練習


わたしがフランス語をやってるのはフランスに知りたい情報がたくさんあるからだけれど、
フランス語は音が官能的で好き。
耳に唇を寄せてキスしながら喋るときの音に良く似ていると思う。
今度やってあげましょうか?



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ゴダールの映画を観る日がつづく。おもしろいね。
女と男のいる舗道』は大学のときにも観てるはずだけれど、当時はきっと意味がわかってなかった。
でもアンナ・カリーナはあいかわらず可愛いと思う。
彼女を愛しく思う気持ちが、メリーゴーラウンドを愛でるのと同じところから発生する。


絵や小説や音楽。どこか抑制された表現媒体と比べて、映画の要素の多さ、レイヤーの多さには目が眩む。
三日間家に閉じこもって遊んだあとで、街にでかけたときみたい。


言葉と感情はちがうもの。言葉と物質はちがうもの。
仮想的な物語の表現に一番適切な道具はなんだろう?
ゴダールなら物質、オブジェと答えるだろう。
なぜならその3つのなかで、物質だけが存在しているから。


一番便利なのは言葉。
言葉はそのままですでに魔法。あるいはトリック。
わたしが今までに見た中でもっとも美しいと思うものは、芸術でも風景でもなくて言葉だ。
思い過ごし、無知、想像力のしっぽの軽さが、その言葉を雲の上まで昇らせる。


さて、絵画は言葉か物質か感情か、どれに所属するだろう。
写真は、即物的。たとえそれが嘘でも、嘘をつこうとする意志がはっきりと存在する。
絵画に内在するのは行為。
真っ白なキャンバスを前にゼロから産み出した、ということに、いつもおののく。
絵を描くことと化粧することが圧倒的にちがうのはそこだ。





というようなことを、アンナ・カリーナの完璧なアイラインを見ながら考えた。
なんだか古賀先生の授業のようになっちゃった。